こんにちは、学生副編集長のM・Tです。
副編集長は二人いるので、後でもう一人出てきますよ。
とりあえず、「平成」を特徴づける(?)文学を扱っていこうということだけは決まったんですが、細かい内容までは決まっていません。
今は編集委員で、平成に入ってから主な文学賞を受賞した作品を読んでいっています。
そこで、ちょこちょこと書評的なものでも書いていこうかなと思っています。
今回、私が書くのはこれ!!
「平成」「文学」のキーワードでこの作品を思いつく人は結構いるんじゃないでしょうか?
いきなり大物をいっちゃって大丈夫か? という気持ちは
多少ありますが、
ちょっと頑張ってみます。綿谷りささんは2001年、17歳のときに『インストール』で第38回文藝賞を受賞、さらに2004年19歳で第130回芥川賞を史上最年少で受賞しています。
実は私、平成元年生まれなので2001年といえば、まだ小学6年生です、
たぶん。初めてこの作品を読んだのは、2007年に文庫化されてからだったので、だいぶデビュー時のざわざわした感じがおさまってからでした。
あまりにも印象的な始まりかたをする本作の冒頭を暗記してしまっている人も多いのではないでしょうか?
「さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指でちぎる」高校三年の時、予備校帰りに寄った本屋で偶然手に取ったこの作品は、私にとって衝撃的なものでした。
パラパラっとめくってみて、目に入ったこの冒頭にやられました。
解説で「潔癖」と形容された青春前期の気持ちの様々が、あらわになっている本作。
ただ最近になって思うのは、これを書いたのは青春後期に差し掛かっている時で、しかもこれはフィクションです。
作品内で完結しており現実とは関係がないのかなと考えると、私が高三の時に抱いた感傷とは遠くにあるものに思えてきます。
近頃は、どこか
クールな視線を感じるのです。
10代でこれを書いちゃうんだからすごいよなあと思います。
すごくありきたりな感想ですが。
ひょっとしたら10代だからこそ書けたのかもしれません。
多くの人の心をとらえたこの作品は127万部も売れたそうです。
良くも悪くも今の世相を反映した本作。
ひょっとしたら、次号で大フィーチャーするかも!?