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【レビュー】『蛇にピアス』金原ひとみ

学生編集員T・Sです。もう1人の副編集長です。



しかし、名ばかり副編なので、みなさんあまり信用しないように。



だって、よく考えてもみてください。彼はMくんです。それに対し、自分はSです。



」と「」。ほら、どちらがより大きな存在かがわかるでしょう?



そしてその2人よりも大きな存在である学生編集長の“”、と。



次号の法政文芸は、そんなネイチャーな3人が主に指示を出して、学生企画を進めていきたいと思っています。



さて(ここまで余談だったのです)。



今回わたしが取り上げる作品は金原ひとみ『蛇にピアス』(集英社文庫)です。


蛇にピアス (集英社文庫)蛇にピアス (集英社文庫)
(2006/06)
金原 ひとみ

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金原ひとみさんは、本作品で2003年第27回すばる文学賞を受賞しデビュー、第130回芥川賞(2003年下半期)も受賞しています。金原さんは当時20歳5カ月での受賞、加えて同時受賞された『蹴りたい背中』綿矢りささんも当時19歳11カ月で史上最年少受賞といった話題性も伴い、かなりの注目を集めたことは記憶に新しいと思います。



【あらすじ】

主人公のルイはアマという子供みたいに若い男と同棲しているが、アマの友人のシバという彫物師にも魅力を感じている。そしてアマの影響で舌にピアスをあけ、シバの影響で刺青を入れてみようと思う。そして……





この小説を読んだ瀬戸内寂聴さんは「あれを読んだら、谷崎潤一郎の『刺青』も霞んで見える」と感想を述べたらしいのですが、確かにこの作品にも刺青や、それから谷崎潤一郎の作品に漂うような「性」や「痛み」が非常に生々しく現代的な感覚で描かれています。



現代的な感覚は、現代っ子と呼ばれるような今の若者が(ちなみに僕も平成生まれです)、なんとなくだけどわかるもの、だけど言葉にするのが難しいような一面があると思います。

口で説明するのは難しいけど、あれだよね、あれ。だけどわからない人(例えば自分たちよりはるかに大人な世代)には絶対にわからないよね。なんでだろう。というようなもの。



しかし金原さんはそれを普通にしゃべるようにして描き、それが作品にとてもマッチしているように感じます。個人的にそういった感覚的な行動や衝動を、無理に言葉にすると軽すぎて作品が陳腐になってしまうように思えてならないのですが、そういったことは一切なく、作品をいっそう高めているような感じがするのです。



そういう点が多くの読者の支持を得ている特徴ではないでしょうか。事実、受賞後も『アッシュベイビー』『AMEBIC』といった話題作を発表し、素晴らしい活躍をしています。



2008年には蜷川幸雄監督・脚本、吉高由里子主演によって映画化もされているので、そちらで知っている方も多いと思います。



とにかく有名な作品であることは間違いなく、平成時代の小説としての代表といっても過言ではないと思います。


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【レビュー】『空中ブランコ』奥田英朗

学生編集長です。

Mくんに続いて、私も書評めいたものを書いてみますよ。


空中ブランコ (文春文庫)空中ブランコ (文春文庫)
(2008/01/10)
奥田 英朗

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第131回(2004年上半期)直木賞受賞作。トンデモ精神科医・伊良部シリーズ第2弾。

実は、奥田英朗さんは私の高校の先輩だったりします(岐阜県立岐山高等学校)。

ちょうど私が高校2年生のときに直木賞を受賞され、学校中が祝福ムードに包まれた当時のことが懐かしく思い出されます。

のちに『空中ブランコ』は2005年にテレビドラマ化、2008年には舞台化し、さらに2009年にはテレビアニメにもなりました。

このように異なったメディアを複合させていくことをメディアミックスと呼ぶそうですが、

ここでひとつ気になるのは、それぞれの伊良部役

原作では伊良部というと肥満児というか、ポッチャリ系に収めるのが困難なほどの肥満体としての描写がなされていますが、

テレビドラマでは俳優の阿部寛が、舞台では雨上がり決死隊・宮迫博之が演じています。

原作から入っている私としては、いったい伊良部先生になにがあったのかと心配になるレベルの激ヤセも激ヤセ。

よほどのダイエットプログラムを敢行したか、あるいはメスを入れるなりしたか、とにかく劇的な変貌っぷり。

さらにアニメ版にいたっては、シーンごとに大・中・小の3サイズに変形するというまさかのトトロ化現象。もはや現代の医療技術では追いつけない、アニメなればこそのエキセントリックな設定がなされていますが、

これらは原作を読んだ人、あるいは他のメディア化作品を経由してから原作に触れた人にはかなり違和感があるのではないかなあと。

伊良部先生はアゴの肉ゆさゆさ揺らしてナンボだと個人的には思うので。

ただ、この特異なキャラクターを語るときに、もはや体型などはどうでもいいものだという見方もできます。

ひとことでいえば、幼稚。

精神科医でありながら、患者には趣味でビタミン注射を打つ以外に処方らしい処方もしない。

この医師らしからぬ医師と、深刻な精神病を抱えた患者との間の抜けたやりとりが、読んでいてとても楽しい。

医師というのはあくまで設定で、アタマんなかは小学生。

このギャップがストーリーにうまいこと活かされてるんです。

ちなみに伊良部シリーズ第1弾である『イン・ザ・プール』の映画化作品での伊良部役は、劇団「大人計画」主宰の松尾スズキ

なして! なしてこの方が伊良部役を! と最初はそう思えてならなかったのですが、

実際に作品を観てみると、これはこれでアリかなとも思えてきます。スリムになったところでキャラの濃さに変わりはないからです。

ともすると、伊良部が肥満体である必要はないのではないか、という考えにも及びますが、

こうしてさまざまなメディアを通して、さまざまな形で登場する伊良部大先生です。

原作でのお姿も見逃せないところでしょう。

小説ならではの魅力が、きっとあなたの心をあたためてくれるはずです。


テーマ : 書評
ジャンル : 小説・文学

【レビュー】『蹴りたい背中』綿矢りさ

こんにちは、学生副編集長のM・Tです。

副編集長は二人いるので、後でもう一人出てきますよ。

とりあえず、「平成」を特徴づける(?)文学を扱っていこうということだけは決まったんですが、細かい内容までは決まっていません。

今は編集委員で、平成に入ってから主な文学賞を受賞した作品を読んでいっています。

そこで、ちょこちょこと書評的なものでも書いていこうかなと思っています。


今回、私が書くのはこれ!!


蹴りたい背中蹴りたい背中
(2003/08/26)
綿矢 りさ

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「平成」「文学」のキーワードでこの作品を思いつく人は結構いるんじゃないでしょうか?

いきなり大物をいっちゃって大丈夫か? という気持ちは多少ありますが、ちょっと頑張ってみます。



綿谷りささんは2001年、17歳のときに『インストール』で第38回文藝賞を受賞、さらに2004年19歳で第130回芥川賞を史上最年少で受賞しています。

実は私、平成元年生まれなので2001年といえば、まだ小学6年生です、たぶん。

初めてこの作品を読んだのは、2007年に文庫化されてからだったので、だいぶデビュー時のざわざわした感じがおさまってからでした。

あまりにも印象的な始まりかたをする本作の冒頭を暗記してしまっている人も多いのではないでしょうか?


「さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指でちぎる」


高校三年の時、予備校帰りに寄った本屋で偶然手に取ったこの作品は、私にとって衝撃的なものでした。

パラパラっとめくってみて、目に入ったこの冒頭にやられました。

解説で「潔癖」と形容された青春前期の気持ちの様々が、あらわになっている本作。

ただ最近になって思うのは、これを書いたのは青春後期に差し掛かっている時で、しかもこれはフィクションです。

作品内で完結しており現実とは関係がないのかなと考えると、私が高三の時に抱いた感傷とは遠くにあるものに思えてきます。

近頃は、どこかクールな視線を感じるのです。

10代でこれを書いちゃうんだからすごいよなあと思います。

すごくありきたりな感想ですが。

ひょっとしたら10代だからこそ書けたのかもしれません。



多くの人の心をとらえたこの作品は127万部も売れたそうです。

良くも悪くも今の世相を反映した本作。

ひょっとしたら、次号で大フィーチャーするかも!?

時代の流れを読む。

今号の企画が「平成」に決まったということで、

ひとまず平成以降の芥川賞、直木賞受賞作を読んでいこうということになりました。


編集委員同士で話し合いをしたり、自分でいろいろ調べてみたりしてますが、

興味深かったのが、1989年上半期、平成に入って最初の芥川賞(第101回)。

これがなんと該当作品なしだったんですね。


そのときの候補作は次のようなラインアップでした。


小川洋子 「完璧な病室」(『海燕』1989年3月号)

崎山多美 「水上往還」(『文學界』1989年4月号)

伊井直行 「さして重要でない一日」(『群像』1989年4月号)

多田尋子 「裔の子」(『海燕』1989年4月号)

鷺沢 萠 「帰れぬ人びと」(『文學界』1989年5月号)

大岡 玲 「わが美しのポイズンヴィル」(『文學界』1989年6月号)

魚住陽子 「静かな家」(『こみゅにてぃ』25号)

荻野アンナ「うちのお母んがお茶を飲む」(『文學界』1989年6月号)


このなかで、小川洋子さんの作品はこのときに初めて芥川賞候補に選出され、

その後も第102回(1989年下)に「ダイヴィングプール」で、

第103回(1990年上)では「冷めない紅茶」と、毎回候補に挙がり続け、

第104回(1990年下)、「妊娠カレンダー」で受賞に至っています。

そして現在は芥川賞選考委員を務めておられます。

こうしてひとりの作家を追うだけでも、平成という時代の流れを感じることができます。


平成と一口にいっても、当時の小渕恵三官房長官が

「平成」と書かれた額を掲げたあの日から、もう22年もの長い時間が流れていて、

そこで書かれてきた文学を振り返り、整理するという作業はなかなか大変なものです。

ちなみに、法政文芸の編集委員はその過半数が平成生まれです。

平成生まれの大学生は「平成の文学」をどう捉えるのか。

まあ残念ながら私は諸事情あって昭和生まれなのですが、

平成の世に書かれた作品のもろもろを読み進めながら、

時代の流れみたいなものをつかんでいけたらと思っています。



予告!

1989年以降に発表された作品について、編集委員が感想を綴っていきます。

当ブログに順次掲載していく予定です。乞うご期待!

企画決定!

学生編集長です。

先日行われた会議の結果、今年発行される「法政文芸」の企画が決まりましたのでお伝えします。

今号のテーマは、2つ!


●「平成」の文学

なんだかんだで22年目を迎えた平成時代を大特集。

芥川賞・直木賞受賞作を軸に、現代文学を読み解きます。



●文学のインディーズ

法政の得意分野でもある同人雑誌にスポットを当てます。

こちらは編集長・中沢けい先生が指揮をとります。





なんだか今年は当世風というか、かなりポップなものができそうで

ちょっとこれはワクワクせずにはいられませんね! いやホントに!

このテーマをこれからどう扱っていくか、どう掘り下げていくか、

まだまだなにもかもこれからなのですが、

楽しんでやっていけたらと思っています。

発進!

みなさんこんにちは。

「法政文芸」学生編集長のS・Yです。



「法政文芸」は、法政大学文学部日本文学科が発行している文芸誌です。

編集は私たち学生が行い、年1回、だいたい7月ごろに出ます。



今年は第6号。

内田百、ヤングアダルト、家族、場所・土地と、

これまでさまざまなテーマで独自の切り口から文学の最前線を発信してきた「法政文芸」。

今回はどのような企画で、読者のみなさんになにを伝えていくか。

いま編集会議をとおして委員みんなで奮闘中です。

今後、ブログではその動向など、もろもろお伝えしていけたらとおもっています。



20100201_1


写真は編集会議のようす。



20100201_2


お菓子など食べ散らかしながら和気あいあいと会議をしております。

(写真左のグレージャケット、もっさりした感じの男が私です)



「法政文芸」のこれからにご期待ください! ではでは。
プロフィール

法政文芸編集委員会

Author:法政文芸編集委員会
法政大学国文学会が発行する文芸誌「法政文芸」編集委員によるブログ。編集の様子やオススメ本の紹介など、個性豊かに発信していきます。法政文芸のバックナンバー、その他のご質問はこちらまで→hosei.bungei@gmail.com

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