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【レビュー】『季節の記憶』保坂和志

みなさんこんにちは、副編、二度目の登場です。
どうでもいいことですが、ネット上ということで、この記事はいったいいつ頃皆さんがご覧になるのかよくわかりません。だから、「こんにちは」を使うんでしょうね。
一度、「こんばんは」と言ってみたい。どことなく怪しげですよね、かっこいい。

ではでは、恒例(?)のレヴューを書きますよ。


季節の記憶季節の記憶
(1996/08)
保坂 和志

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今回は、保坂和志『季節の記憶』です。
『平成』を語るには欠かせない作家だと思います。
著者は90年『ブレーンソング』でデビュー。
今回のレヴューで取り上げる『季節の記憶』は97年に発表され、谷崎純一郎賞、平林たい子賞を受賞しました。
舞台は鎌倉・稲村ケ崎。一児の父である主人公(38歳)、息子の圭太(あだ名はクイちゃん、5歳)、近所の松井さん(44歳)、その妹の美紗ちゃん(24歳)、美紗ちゃんの友達で離婚して越してきたナッちゃん、この5人を中心に物語は動いていきます。

昔、どこかで見た言葉に「散文は散歩、韻文はダンス」というのがあって、すごく納得した記憶があります。『季節の記憶』も、まさしく散歩のような小説です。
先に紹介した5人の会話や散歩を中心にして、ゆったりと特別な事件が起こることもなく小説は進みます。
従来の小説のような起承転結が、はっきりとした形で表れてこないのです。
しかし決して読みづらいわけではありません。
ごく自然な文体で、優しく流れていくように紡がれていく物語は、気づけば自分たちの中に驚くほど自然にしみこんでいきます。
初めて読んだときは、これが小説の力か、と私なりに感動しました。
日常にひそむ、どこか心に引っかかる、だけど目立った形では表れない、そんな日々の些事が数珠状に連なり、この物語はできているのです。
私自身が保坂さんの大ファンで、創作をしている人たち向けに書かれた『書きあぐねている人のための小説入門』という本が家にあります。
大学では一応創作のゼミに所属しているので、小説作法のようなものが書いてある本をよく読むのですが、この本の最後の章のタイトルは「手を休めて、窓の外を見る」です。
もう一冊お気に入りなのが、高橋源一郎さんの『13日で「名文」を書けるようになる方法』です。
これは最初の章のタイトルの一部分なんですが、「素敵な文章を読んだ後は、とりあえず窓の外を眺めてみる、ということ」とあります。


『季節の記憶』を手にとり、本からふと顔をあげて窓から外を眺めてみるとき、そんな時にこの小説は力を持ってくるような気がします。
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テーマ : 書評
ジャンル : 小説・文学

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法政大学国文学会が発行する文芸誌「法政文芸」編集委員によるブログ。編集の様子やオススメ本の紹介など、個性豊かに発信していきます。法政文芸のバックナンバー、その他のご質問はこちらまで→hosei.bungei@gmail.com

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