お久しぶりです。学生編集長です。
ブログの更新が滞ってしまいましたが、法政文芸の方は順調に進んでいます。2011年ももうすぐ終わってしまいます。以前の記事にも書きましたが今年は本当に多くのことがありました。そんな激動の一年も残すところ十日程で、もう何事も起こらず終わってくれればとも思っていますが、どうなることでしょう。
そんな中ですが、もちろん法政文芸第八号の企画も着々と進んでいます。今年は編集委員の数が増えたこともあり、多様な意見が飛び交うなど会議の様子もより活発になっています。まだ具体的な企画内容についてはお知らせすることが出来ませんが、我々編集委員もこの企画が形になるのを楽しみにしています。
さて、ここで最近僕が読んだ本の話でもしようと思います。何を読んだかというと、中村光夫の『風俗小説論』です。「『破戒』から『蒲団』にいたる道は滅びにいたる大道であったと云えましょう」という一文が有名な本書は、日本近代リアリズムの発生から崩壊までを徹底的に分析したものです。
田山花袋の『蒲団』を読む機会があり、この『風俗小説論』が講談社文芸文庫から新しく出たので、これは読むしかないと思って購入したのですが、刺激的で面白いです。花袋の『蒲団』をこれでもかと切り刻んでいくかのように分析していく様は圧巻で、日本の近代文学を理解するうえでの、まさに「大道」を示してくれます。
花袋や藤村を読んだことがないという人でも十分に読めるものです。また決して難解な表現ばかりということはなく、文章的にも読みやすく、さらに全体のページ数も読みやすい量なので、日本文学に興味があるという方には一読をお薦めします。