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【レビュー】 『絶対、最強の恋のうた』 中村航

 私が紹介する作品は、中村航さんの『絶対、最強の恋のうた』です。作者の中村航さんは『リレキショ』で文藝賞を受賞しデビュー。その後も『100回泣くこと』などヒット作を続々発表しています。

 大学二年生の新学期、1年の頃から友達の男子学生「大野」に告白され、付き合いはじめた「私」。初めての恋人との甘い生活に浮かれ、自分を見失いそうになっていることに気づいた「私」はその恐怖を「大野」に伝える。すると「大野」は毎日死ぬほど会う生活をやめ、電話は週に三回、デートは週末にするというルールを提案する。このルールに則り改めて付き合いを続けていくことにした二人を待っていたのはかけがえのない大切な時間だった。

 この作品の中で作者は恋愛を二段階に分け、それぞれを「トラック」と「スタンプカード」に例えています。恋する相手との生活に夢中になり、相手の一挙手一投足に不安になったり幸せになったりと常に心を揺れ動かし続けて他のことに集中できなくなる、そんな付き合いたての「不確かな」時間が第一段階。この段階を表した「トラック」とは、熱を帯びた状態で同じ場所を全力疾走しているこのような付き合い初めの人が誰しも陥るような罠のことを表しているのだと思います。

 恋することに夢中になりすぎ自分を見失うことに恐怖し、全力疾走を終えた恋人たちが新たに「ゆるやかで淡い」幸せな交際を続けていく、そんな手を取り合って歩くような「確かな」時間、これが第二段階です。この段階を表した「スタンプカード」については、作中に以下のような描写があります。

 恋はスタンプカードのようなものだ、と私は思う。

 キスをして、好きだと思って、何かをわかり合って、優しい気持ちになって――。

 そんなことがある度に、私たちはスタンプを押す。(中略)このカードはいつか、かけがえのない何かと交換できる。そんな日がきっとくる。その日まで、私たちは小さな声で歌うのだ。絶対、最強の恋のうたを歌うのだ。


 この描写にあるスタンプカードとは、「不確かな」恋を「絶対」の愛に変える幸せな時間を表しているのでしょう。

「不確かな」恋を「絶対の」愛に変えたい、この「祈り」は恋する誰しもが願うことだと思います。この作品にはこのような恋をする人が【誰しも】一度は感じる感情が見事に描かれています。読めば共感することのできる部分がきっと見つかるはずです。みなさんもこの作品を読んで付き合いたてのワクワク感やドキドキ感。そして、好きな人と寄り添いながらゆっくりと育んでいく愛を感じてみてはいかがでしょうか。(文責:大熊)


絶対、最強の恋のうた (小学館文庫)絶対、最強の恋のうた (小学館文庫)
(2008/11/07)
中村 航

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