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【レビュー】『猛スピードで母は』 長嶋有

編集委員のK・Aです。

出席番号は生まれてこのかた№1。

相田、相沢、相川……
未だ見ぬ強敵の存在が気になって夜も眠れない、
なんてことは
あるはずも
ない
わけですが。


そんなK・Aが作品紹介をひとつ。



長嶋有 『猛スピードで母は』
2002年、第126回芥川賞の授賞作です。

猛スピードで母は (文春文庫)猛スピードで母は (文春文庫)
(2005/02)
長嶋 有

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題名に釣られて手にした作品なのですが、確かに「猛スピード」が出ていました。

あらすじ等々、レビューと呼べるものにできるかどうか定かでないので、
読者の感想にて何か伝わればと思います。



母と息子。
この二人からなる母子家庭が作品の舞台となっています。


母は運転席に座り、子が助手席に座る。
母が車を動かし、子はその動きに乗る。

「猛スピード」とはこの車の動きです。


母は前方を見てアクセルを踏み込みます。
ぐーっと力強く、逞しく。
まさに猛々しくスピードを上げて。
前へ前へと突き進んでいきます。

踏み込んでいく力は、母そのもの。

子が見たものは、その母の横顔。



全体が息子の視点から描かれたこの作品は、子供の目に正直に描かれているように感じます。
見たいものにピントを合わせるのでもなく、見たくないものをフレームから外すことでもない。
ただ見えたものを受け取る。

そんな目で写された情景は、私の目にも優しいものでした。


母は色々なものを見て、子は色々なものに目を向けて、その中でお互いがお互いを見ることもあります。
しかしその時、目と目を合わせるのかというと、
必ずしもそうではないのです。

二人が見たものは相手の横顔でした。
それこそが運転席と助手席の距離で、母と息子の距離感です。

相手に見せる横顔が、その時その人の心を物語っています。


この絶妙な距離感を包んで、車は「猛スピード」で走ります。


「猛スピードで母は」
作中の息子がこう見ていたのなら、

「猛スピードで突き進む母を見た息子は」
読者の私たちはこれを考えることもできるでしょう。

その先が作品には込められている、私はそう思うのです。



拙い文章でしたが、ここまでお付き合い頂けていたら幸いです。

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Author:法政文芸編集委員会
法政大学国文学会が発行する文芸誌「法政文芸」編集委員によるブログ。編集の様子やオススメ本の紹介など、個性豊かに発信していきます。法政文芸のバックナンバー、その他のご質問はこちらまで→hosei.bungei@gmail.com

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