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『いつか記憶からこぼれおちるとしても』江國香織

こんにちは。
学生編集員です。


長い春休みが終わり、新学期が始まりました。
法政文芸の会議もこれからさらに頻繁になりそうです。
学生企画の「平成のライフスタイル」だけでなく、「文芸のインディーズ」班も週に1度くらいの頻度で中沢先生の研究室で会議をしています。
水面下でちょこちょこと動いているのです。
オモチロイ(中沢先生風に言ってみました)企画になりそうですので、こちらもお楽しみに!



さて、わたしも先輩方に続いて書評をひとつ。
と言いたいところですが、申し訳ないくらい拙い文章ですので、書評というより感想文ですね。
お恥ずかしいです。


いつか記憶からこぼれおちるとしても (朝日文庫)いつか記憶からこぼれおちるとしても (朝日文庫)
(2005/11)
江國 香織

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青春時代に誰もが感じたような、言葉にし難い感情をテーマにした短編集です。
主人公は、とある私立の女子高の同じクラスに在籍する10人の女の子たち。
平成の学生生活を描いた作品を探してみると、部活動を舞台にした青春モノが多いのですが、この作品はまったく違います。
読んだ後の爽快感を求めている人にはちょっとオススメできません。
17歳の頃の甘酸っぱかったりほろ苦かったりする、まさに「いつか記憶からこぼれおち」てしまうだろう一瞬の感情を閉じ込めた1冊なのです。


わたしがこの本を読んだのは大学に入ってまもなくの頃です。
つい最近まで女子高生だったわたしにとって、衝撃的な小説でした。
その理由のひとつは、登場人物の気持ちが痛いほど共感できたから。
登場人物の10人の女の子の中で、私に似ていると感じた女の子はひとりもいません。
(そもそも都内の私立の女子高に通い裕福な家庭に育つ彼女たちと、田舎のごく普通の共学の高校に通っていた私とではライフスタイルからして違いますから。)
でも、仲良しのグループのなかでふと感じる孤独感とか、大人っぽい容姿の同級生を羨ましく思った気持ちとか、きっと女の子だったら一度は感じたことがあるような気持ちが描かれていて、「ああ、私も確かに同じことを感じたんだった」と驚きにも近い共感の気持ちがありました。
そしてそのあとにふと昔を懐かしむ気持ちが湧いてきたりして、私の心に深くしみてしまったのでした。

もう一つの理由は、この作品で描かれている、主人公たちの「いつか記憶からこぼれおち」てしまうであろう感情は、つい最近まで女子高生だった私の記憶からもすでに零れ落ちてしまっていたということに気付いたからです。
この小説を書かれた作者の江國香織さんは本当に素敵な作家だと思います。
私よりずっと大人でありながら(この言い方は失礼かもしれませんね)子どもの心を忘れない作家だから。
もう少し前まではたしかに感じていた大人への不満や、制服を着るということの安心感(どこそこに所属しているというのは妙に安心するものです)。
それらは確実に今の私から失われていたことに気付いたのです。悔しいけれど。


もしこの本を男性が読んだらどう感じるのでしょうか。
昼休みのチャイムが鳴ると校庭に走って行ってバスケットなんかをしていたり、廊下でふざけあっていたりしていた男の子たちに読んでいただきたいものです。
女の子が好きそうな小説だな、と思うのかな。
ふうん、女の子はこんなことを考えるものなんだ、と納得するのかな。
あるいは初めてデートした女の子のことを思い出すのかも。
断然、女の子にお勧めしたい小説ですが、男の子が読んだらどう感じるのかも気になるところです。



テーマ : 書評
ジャンル : 小説・文学

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法政大学国文学会が発行する文芸誌「法政文芸」編集委員によるブログ。編集の様子やオススメ本の紹介など、個性豊かに発信していきます。法政文芸のバックナンバー、その他のご質問はこちらまで→hosei.bungei@gmail.com

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