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【レビュー】『空中ブランコ』奥田英朗

学生編集長です。

Mくんに続いて、私も書評めいたものを書いてみますよ。


空中ブランコ (文春文庫)空中ブランコ (文春文庫)
(2008/01/10)
奥田 英朗

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第131回(2004年上半期)直木賞受賞作。トンデモ精神科医・伊良部シリーズ第2弾。

実は、奥田英朗さんは私の高校の先輩だったりします(岐阜県立岐山高等学校)。

ちょうど私が高校2年生のときに直木賞を受賞され、学校中が祝福ムードに包まれた当時のことが懐かしく思い出されます。

のちに『空中ブランコ』は2005年にテレビドラマ化、2008年には舞台化し、さらに2009年にはテレビアニメにもなりました。

このように異なったメディアを複合させていくことをメディアミックスと呼ぶそうですが、

ここでひとつ気になるのは、それぞれの伊良部役

原作では伊良部というと肥満児というか、ポッチャリ系に収めるのが困難なほどの肥満体としての描写がなされていますが、

テレビドラマでは俳優の阿部寛が、舞台では雨上がり決死隊・宮迫博之が演じています。

原作から入っている私としては、いったい伊良部先生になにがあったのかと心配になるレベルの激ヤセも激ヤセ。

よほどのダイエットプログラムを敢行したか、あるいはメスを入れるなりしたか、とにかく劇的な変貌っぷり。

さらにアニメ版にいたっては、シーンごとに大・中・小の3サイズに変形するというまさかのトトロ化現象。もはや現代の医療技術では追いつけない、アニメなればこそのエキセントリックな設定がなされていますが、

これらは原作を読んだ人、あるいは他のメディア化作品を経由してから原作に触れた人にはかなり違和感があるのではないかなあと。

伊良部先生はアゴの肉ゆさゆさ揺らしてナンボだと個人的には思うので。

ただ、この特異なキャラクターを語るときに、もはや体型などはどうでもいいものだという見方もできます。

ひとことでいえば、幼稚。

精神科医でありながら、患者には趣味でビタミン注射を打つ以外に処方らしい処方もしない。

この医師らしからぬ医師と、深刻な精神病を抱えた患者との間の抜けたやりとりが、読んでいてとても楽しい。

医師というのはあくまで設定で、アタマんなかは小学生。

このギャップがストーリーにうまいこと活かされてるんです。

ちなみに伊良部シリーズ第1弾である『イン・ザ・プール』の映画化作品での伊良部役は、劇団「大人計画」主宰の松尾スズキ

なして! なしてこの方が伊良部役を! と最初はそう思えてならなかったのですが、

実際に作品を観てみると、これはこれでアリかなとも思えてきます。スリムになったところでキャラの濃さに変わりはないからです。

ともすると、伊良部が肥満体である必要はないのではないか、という考えにも及びますが、

こうしてさまざまなメディアを通して、さまざまな形で登場する伊良部大先生です。

原作でのお姿も見逃せないところでしょう。

小説ならではの魅力が、きっとあなたの心をあたためてくれるはずです。


テーマ : 書評
ジャンル : 小説・文学

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