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『少女七竃と七人の可愛そうな大人』桜庭一樹

タイトルが長すぎて入りきらないため、【レビュー】は省略です。
はじめまして。編集委員です。
会計の仕事をしています。


今回レビューさせて頂くのは、ズバリこれ!
桜庭一樹著『少女七竃と七人の可愛そうな大人』!
ちなみに七竃は、『ななかまど』と読みます。
こんな漢字読めないですね、普通。

nanakamado.jpg




桜庭一樹は、非常に現代的な文壇デビューをした作家でしょう。
彼女は、もともとライトノベル作家でした。
ラノベ時代に書かれた作品で注目を浴び始め、
その後2008年には直木賞を受賞。
一躍文壇に躍り出て、今も第一線で活躍している作家です。2000年以後に注目され始めたライトノベルという括りから、広く名の通った賞を受賞し、桜庭一樹は世間一般から読まれる作家となりました。



作者の紹介が済んだところで、今回のレビューをば。
『少女七竃と七人の可愛そうな大人』は、ラノベ的な読み味の軽さと、
大衆向け小説としての楽しめつつも心痛む物語性を持つ作品です。
丁度、桜庭一樹のラノベ時代から直木賞受賞までの過渡期に書かれた作品なので、テンポの良い文章と、読ませるストーリーがうまく混合しています。


主人公の川村七竃は、「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」娘で、街行く通行人の目を奪う美しさは、いつも噂されるほどのものでした。そのため七竃の美しさを独占したり、売り物にしようとしたりと、彼女の周りには、彼女を囲い込んでしまおうとする、可愛そうな大人たちが群がっています。
例えば男遊びの過ぎる母親。例えば東京の芸能プロデューサー。
例えば家の飼い犬。例えば母親の友人の女。
七竃の美しさしか目に映らない可愛そうな大人たちに、
彼女は怒りを覚え、そして自分の美しささえ遺憾に思っていました。


そんな彼女の、心を許せる唯一の友人が、桂雪風という名の少年。
雪風も七竃と同じ、凄まじいまでの美少年です。
そして二人は、美しさに垣間見える面影も、どこか似ているのでした。
七竃と雪風は、お互いの趣味である鉄道模型を共通言語としながら、似通った「あまりの美しさ」という問題を、共有し合います。


狂おしいまでの美貌を持つ二人にしか理解できない世界が、七竃と雪風の間に形成されていく一方で、流れ行く時間と二人を取り巻く大人たちが、七竃と雪風に決別をもたらします。
幼年からの長い期間を経て徐々に作られていった彼らの世界の中では、七竃の美しさは、すなわち雪風の美しさであり、二人のかんばせは同一の様相を呈していました。
七竃と雪風にとっての決別とは、異性としてお互いと別れることではなく、もう一人の自分との別れなのです。
もう一人の自分と別れる瞬間、美しい彼らは何を思うのか。
その刹那が、この物語のクライマックスです。
長々と書きましたが、世界観も統一されていて面白い作品なので、是非多くの人に読んでもらいたいです。



桜庭一樹の書く少女がテーマの作品は、生き生きとした登場人物たちの躍動感や、十代の心の瑞々しさと刺々しさがあって、ダイナミックに読ませる部分と、しっとりと心の奥に沁みる感傷があります。

でも作中の人物たちに感情移入できるかと言うと、そうではなくて、ひとつの個性として主人公やその他の登場人物を、作品の受け手の立場で、一歩引いて見ることができるんです。

そのことがマイナスの面として働くのではなく、桜庭一樹の作品全体を、より見通しやすくし、作者によって完成された、他人の手の入らない一つの箱庭のような世界観に仕立て上げている。

そういう意味で、桜庭一樹の作品群は、大衆文学として非常に優れていると思います。誰にでも分かり易くて、受け手を魅了する、楽しめて心動かされる内容となっているのですから。

テーマ : 書評
ジャンル : 小説・文学

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